こんにちは、Hiromi Sugieです。
なかなかブログ執筆がはかどりませんが、今日は「問いのレイヤーを上げる」ということについて。
(2回シリーズの前半です)
私たちデザイナーが仕事を進めるにあたって、与えられた要望、あるいは課題や問いに対して、最適な答えを探し、それをビジュアルによって指し示すことが一般的かと思います。しかし、ややもすると、「言われたことだけをそのままやる」、そこまでいかなくとも「要望・指示に応えるだけでいっぱいっぱい」ということに陥ってしまいがちです。(自分もしょっちゅうなので自戒も込めて)
そうなると、場当たり的に案件ごとに「こうしたらカッコイイからOK」あるいは「言われた通りやったのだから問題ない」と表面的なことだけに終始してしまいます。もちろん、「素敵な見た目をつくる」というのはデザイナーにとって重要な役目ですし、指示にきちんと応えることをおろそかにしてはいけませんが、ただ形を作ることだけに終始してしまうと本当の目的を達成できない可能性もあります。
「○○○を作りたいと言われたが、本当に必要なものはそれで良いのだろうか」
「こういうことに困っていると言っていたが、本当の課題はその裏に隠れているんじゃないか」
という視点を持つこと、つまり「レイヤーを上げる」という考え方が非常に重要です。
例えば、「イケてるwebサイトを作りたい」といった制作物ベースの要望の場合、確実にその目的や背景となる課題が潜んでいます。もちろん一通りの制作目的や抱えている課題などはヒアリングするのが一般的ですが、常にレイヤーを上げた視点を持ち「その課題のさらに根本的な問題はどこにあるのか」といった視点を持つことは、依頼者との目線を合わせ、ブレずに制作を進めるための指針となるはずです。
また、この考え方は、実際に制作を進める段階でも役に立ちます。ちょっとした例ですが、「この文字を大きくしてください」と言われた時。その目的は文字を大きくすることではなく、その文字を目立たせたいという意図があるはずです。目立たせることが意図であれば、単純に大きくする以外にも方法はたくさんあります。(場合によっては「なぜ目立たせたいのか」というさらにレイヤーを上げた問いも必要)
これはデザインに限った話ではなく、いわゆる「ソリューション営業」と言われる考え方で、トヨタの「なぜを5回繰り返せ」やマーケティングの格言「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルでなく穴である」など、様々な言い方で長年言われていることです。これを僕は「問いのレイヤーを上げる」と呼んでいます。昨日からですが。
この「問いのレイヤーを上げる」という考え方、話としてはシンプルなのですが、言うは易し行うは難し。とかく御用聞きになりやすい受託業務においては、毎日拝みたいくらい重要な考え方だと思います。
読んでいただいてありがとうございました。
次回は「レイヤーを上げる」とはある意味対をなす考えである「解像度を上げる」について書きます。