杉江デザイン事務所

BLOG

2017/07/18
当事者になれば解像度は上がる

こんにちは、Hiromi Sugieです。

先日、「解像度を上げること」というブログを書きました。
(仕事において、細部をクリアに見る(=解像度を上げる)ことが大事、という主旨)

今日は、解像度を上げる要因となるものについて書いてみます。
それぞれ関連する部分もあるので明確な分類ではないのですが、自分なりに4つにまとめてみました。

好きになる

クルマが好きな人は、一目見ただけで車種やいつのモデルかということまで即答できたりします。(僕は残念ながら車に全く詳しくないので、エンブレムを見てかろうじてメーカーが分かるかどうかくらいのレベルです…)
音楽が好きな人は、好きなジャンルの音楽をさらに細分化して認識することができます。僕は少しバンドをやっていたので、音楽を聴く時ついドラムやベースの運びを気にしてしまいます。
好きなものは詳しくなるし、細かい部分の差にも敏感に気付けるようになります。

自分で体験する

高校生のとき、足を怪我して松葉杖を使っていた時期がありました(慣れない松葉杖で通学がかなり大変でした)。その時、それまで意識してなかったのですが人の多い駅などでは意外と松葉杖を使っている方がいることに気付きました。
そして最近、娘が生まれて自分で抱っこ紐やベビーカーを使うようになってからは「こんなに妊婦さんやベビーカーを使ってる方がいたのか」と驚くくらい、周りの見え方が変わりました。
自分で体験することで、今まで見えてなかったことが見えたり、見る角度を変えられるようになります。

触れる機会を増やす

頻繁に触れるものは、だんだん細部まで見ることができるようになります。漁師さんが海を見て「今日は荒れるな…」と検討がつくのも、日常的に海を見る経験があってのことかと思います。
また、エスキモーは雪を表す言葉が何十種類もあるという説があります(諸説あるようです)し、日本も雪の多い地方では粉雪、たま雪、わた雪など様々な呼び方があります。
日常的に見る機会が多いものほど、わずかな特徴を認識して区別できるようになります。

仕事にする

自分の仕事に関することは否が応でも気になるようになります。いわゆる「職業病」というやつで、接客業なら普段も店員さんの動きひとつひとつにかなり敏感になると思いますし、僕は街を歩くときは看板のデザインや文字組みにばかり目が行ってしまいます。(それは仕事だからと言うか好きだからなのですが)
仕事にすることで、自然と関連することに目が向くようになります。

※この記事の趣旨は「仕事において解像度を上げるためにどうすれば良いか」なので、その解答として「仕事にする」では堂々巡りになってしまいます。
ここで重要なのは、「自分が仕事だと思っていることの範囲の拡張」です。(「問いのレイヤーを上げること」にも通じます)
上の接客業の例で言えば、接客業の仕事はお客様に自分の店の商品をただ売ることではなく、お客様に心地よい時間を過ごしてもらうと考えれば、そのために身に付けるべき知識・技術は拡張されます。
自分のデザイナーとしての例で言えば、デザインを作るだけでなく、それに至るプロセスやお客様とのやりとりも大事な仕事だ、ということになればおのずと気を付けるポイントは増えます。

まとめ:「当事者になること」

これらのことをまとめると、「当事者になると解像度は高まる」ということだと思います。僕が仕事で関わらせていただいている会社では「当事者意識を持つ」「ワガゴト化する」という言葉がひっきりなしに出てきますが、それは当事者になることがいかに重要か、そして難しいかを物語っています。

自分がもともと好きなことや、自分の体験に基づいたことを仕事にできるのがひとつの理想ですが、そうではないことも多いと思いますし、好きな仕事だからといって100%すべての作業を興味津々でできることは稀かと思います。
そんな時は、そのことをすっごい好きな人に魅力を聞いてみたり、たとえ手間でもあえて実際に体験してみたり、意識的に目に触れる機会を増やしてみたりするのも良いかもしれません。足の怪我はできればもう避けたいですが…。

 
読んでいただきありがとうございました。